木造住宅に耐震診断が必要な理由って?

近年、耐震という言葉をよく耳にするようになりました。
2005年のマンション耐震強度偽装事件のおかげで、不安になるような建物はたくさんある実態が明るみに出ました。それがビルやマンションだけでなく、木造住宅にまで疑惑が広がってきています。木造住宅はこれまで大工さんや工務店の経験や知識に頼ることが多く、厳密な耐震強度の審査など永らくないままだったのですが、今では審査が義務づけられています。
また、悪徳リフォームや知識のない業者により、必要な壁をなくしたり、重要な柱を抜くなど、家の強度を弱めたままにしているケースもあります。
その強度基準にしても大地震が起こるたびに見直し、改正が繰り返されてきました。昔の基準ならOKでも現在では強度不足というお家はたくさんあります。なお現在の基準は1986年にできたもので、阪神淡路大震災でもこれ以降の建物の被害は少なかった事から、今のところ1つの目安となっています。
建て方や劣化の度合いを検証する事で、耐震性やウィークポイントをはっきりさせるのが耐震診断です。それがなければ、今後も安心して住み続けるためには何が必要か不要か、根拠のある判断ができないのです。


耐震診断は、大きく分けて2つの視点でおこないます。
1) 構造部(家の骨格となる部分、屋根や床を支えている柱や梁、すじかい、基礎など)の配置や状況を調べる
2) 構造部材の痛み具合と、そこが支えている負担の大きさを調べる。
それぞれについて少し補足しますと、
1)上に部屋があったり重い屋根が乗っているのに、柱が少なかったり細かったりすれば弱いというのはご想像になれると思いますが、柱や梁の配置バランスが悪いと、よじれるように倒れる恐れがあります。
2)構造材が適切に配置されていても、シロアリ被害を受けていたり雨漏りで腐っていれば、そこが地震の際に支えきれなくます。しかも昔の家は屋根に重い瓦がのっていたり、ベランダに重いモルタルが敷いてあったりと、文字通り”荷が重い”ケースが多々あります。
新築の時の図面が残っていれば参考になりますが、時として図面と異なる実態になっていたり、リフォームによって変わっていたりもしますし、劣化の度合いについても実際に訪問してみないと判断できないのです。図面を持って行って”ざっとこれぐらいの強度ですね”という診断はできません。まずは現物ありき、が耐震診断の基本です
現地での調査に基づき計算を行うことで、家全体の耐震性と弱い点がわかり、
適切な補強プランを立てられるというのが、
耐震診断の基本的な流れです